「履歴書 嘘」で検索するほど不安を抱えていますよね。
- 経歴に自信がない
- 空白期間がある
- バイトしかしたことがない
- 自己PRに書けるようなことが見つからない
「ちょっとくらい話を盛ってもいいのかな……」という迷いの一方で、
- 嘘はダメっていうし…
- そんなことしたら後でバレるんじゃ…
- 自分は正直にやらないとダメだ
そう思って、自分を責めてしまっていますよね。
今日は、そんなまじめで、純粋で、自分を犠牲にしがちな人に伝えたいことがあります。
それは、「人生は、ただバカ正直に生きるだけじゃ守れないものもある」ということです。
履歴書を書くという行為には、たくさんの「心理」が詰まっています。この記事では、「嘘とはなにか」「本当とはなにか」を、履歴書という紙一枚を通して、いっしょに考えてみたいと思います。
「嘘をつかない=正しい」とは限らない
履歴書には「ついていい嘘」と「ついてはいけない嘘」があります。
- 【NG】資格や職歴を偽ること(バレたら信頼もキャリアも失います)
- 【NG】できないことを「できます」と言い切る(入社後に苦しむのは自分です)
- 【OK】空白期間の理由を前向きな表現にする
- 【OK】言い回しを変えて、印象をやわらかくする
- 【OK】「安心感を与える言葉」で少しだけ補う
たとえば、引きこもっていた期間をそのまま「何もしていませんでした」と書くと、見る側は「大丈夫かな?」と不安になります。
でも、こう書いたらどうでしょう?
「家族の介護を通じて生活のサポートをしていました」
「少し体調をくずしてしまい、実家にもどって家業を手伝っていました」
これは、嘘ではありません。でも、真実をそのまま書いたわけでもないですよね。いわば、「相手の気持ちに配慮した言い回し」です。
つまり履歴書において大事なのは、事実をどう伝えるかということなんです。
「気のきいた嘘」は人を安心させるやさしさ
世の中には「気のきいた嘘」があります。
たとえば、
- 「大丈夫です」って言ってあげることで相手が安心することがある
- 「がんばります」って言った方が、自分にとっても前向きになるときがある
- 「この会社に入りたいです」って言い切ることで、信頼されることがある
これらはすべて、やさしい嘘とも言えます。相手を不安にさせないための、言葉の選び方です。
履歴書も同じです。
あなたの中にある「ほんとの気持ち」は、きっともっと無気力で、もっと迷っていて、もっとネガティブかもしれません。でも、そこを全部さらけ出してしまうと、読む側は「この人、大丈夫かな……?」と感じてしまいます。
だから、本音をまるごとぶつけることよりも、相手の立場を想像して、どう伝えたら安心してもらえるかを考えることのほうが大事です。
それは、ずるいことでも、嘘つきでもなくて、やさしさであり、配慮であり、社会で生きるための知恵です。
まじめな人が損をしないために
ここでひとつ例え話を。
Aさんは、自分にできることだけを正直に書いた履歴書を出しました。
「得意なことは特にありません」
「バイト経験しかありません」
「空白期間はただ家で過ごしていました」
一方で、Bさんはこう書きました。
「接客のアルバイトで人と関わることの大切さを学びました」
「空白期間は家族の介護をして人を支えるよろこびを知りました」
「資格はまだありませんが、学ぶ意欲があります」
どちらも事実は同じですが、Bさんの方が、前向きに努力している印象を与えますよね。
Aさんのような「まじめで正直な人」は、つい、「盛るのは嘘になる」「嘘は絶対ついてはいけない」と思い込んでいます。でも、そのまじめさが自分を苦しめてしまうことがあるのです。
誠実であることは大事ですが、「なんでも正直に言ってしまうこと」とは違います。
相手の立場に立って、不安を与えないように自分をどう表現するかを考えることが、誠実さなのです。
嘘が自分を苦しめる瞬間とは?
とはいえ、やってはいけない嘘もあります。特に気をつけたいのは、「自分を苦しめる嘘」です。
× 資格を持っていないのに「ある」と書く
特別な技能や、信頼度の高い資格を持ってないのに持ってると嘘をつくのは絶対ダメです。面接や仕事の中でバレたら信用を失います。
× できないことを「できます」と言ってしまう
がんばる意欲を見せることは大事ですが、今の段階でできないことを「できる」と言うのもアウト。実際の業務で求められて、できずに結局自分が苦しむことになります。
× 前職を美化しすぎる
前の職場で出した成果や受けた評価を高く盛っても、「それだけ活躍してたなら、うちでも即戦力だよね」と期待値が上がってしまいます。
嘘をついて、あとあと相手を裏切ってしまったり、嘘で自分が無理をすることになるのはダメです。履歴書に書く言葉は、未来の自分を苦しめない範囲で、前向きに、やさしく整えるのがポイントです。
「ほんとう」は、自分の中にある
大切なのは、「嘘をつく・つかない」ではなく、「自分が、どこまでを“本当”と信じられるか」です。
もし今、あなたが
- 何もアピールできることがない
- 自分には価値がない
- この空白期間をどう書いていいか分からない
と思っていたら、こう考えてみてください。
「じゃあ、どう言えば少しだけ前向きに聞こえるかな?」
「この期間で、たったひとつでも得たものはなんだった?」
「読む相手がちょっと安心できる言い方って、どんな言葉だろう?」
それは、嘘をつくことではありません。それは、「言葉を探すこと」です。「伝え方を工夫すること」です。「自分を少しでも理解してもらおうとする努力」です。
その努力の中にこそ、あなただけの“ほんとう”があるんです。
「履歴書に嘘を書いてもいいですか?」という問いの答え
答えは、こうです。
人をだますための嘘はダメ。でも、相手を安心させ、自分を守るための「やさしい言葉の工夫」はアリ。
まじめでピュアな人こそ、「嘘をついてはいけない」という思いに縛られて、自分を苦しめてしまうことがあります。
でも、社会はバカ正直で通用するほど簡単ではありません。
誰かを安心させるための「前向きな言葉」。自分がつぶれないようにするための「やさしい表現」。それは嘘ではなく、社会の中で生きていくための知恵と配慮です。
あなたの中には、ちゃんと「伝える力」があります。それを信じて、やさしく、あたたかく、人を安心させられるように自分のことを表現していきましょう。