「履歴書 書き方」と検索すると、たくさんのテンプレートが出てきます。学歴の書き方、志望動機の例文、長所と短所の例、自己PRのひな形……。
でも、履歴書をテンプレどおり書いて転職がうまくいくほど世の中簡単ではありません。
今回は、履歴書を書くときに、自分で考える力をもつことの重要性について考えながら、テンプレだらけの転職界で勝つ自分になっていきましょう。
履歴書の「テンプレ依存」が私たちを弱くする理由
テンプレや例文を使うことは悪ではありません。むしろ、「正しい形式」や「伝わりやすい表現」を知るために、とても役立ちます。
しかし、それをそのまま思考停止で写すだけになってしまうと、次のようなデメリットが生まれます。
自分の言葉がなくなる
例えば志望動機の欄に、「御社の企業理念に深く共感し、自己成長を通じて貢献したいと考えました」と書いてあるとします。
一見、きれいな文章ですがこれを面接官が見たとき、
「どこかで見たことあるな」
「この人、ちゃんと考えてるのかな」
と感じることがあります。なぜなら、よくあるテンプレ文だからです。
言葉は人の「中身」を伝える手段。借り物の言葉では、あなたという存在が見えてこないのです。
思考力が育たない
テンプレは、たしかに「正解っぽいもの」をくれます。でも、正解をなぞるだけの習慣を続けていると、自分で考える力が弱ってしまいます。
いざ仕事の現場に出たら、テンプレなんて存在しません。マニュアルにないトラブルが起きたり、自分の意見を聞かれたり、判断を迫られる場面がやってきます。
重要な場面ほど、「誰かが決めた答え」では動けないのです。必要なのは、「今の状況を見て、自分の頭で判断する力」です。
履歴書を書くという行為は、その練習の第一歩になります。
「正解」ではなく「納得」を目指す履歴書へ
じゃあ、テンプレをまったく見ずにゼロから書けというのかというと、そうではありません。
大切なのは、「テンプレを参考にした上で、自分の頭で考えて書く」ことです。
その時のポイントは、「正解」ではなく、自分が納得できる内容を書くこと。
たとえば志望動機であれば、
- なぜその仕事をしたいのか
- 自分のどんな経験がその仕事に活きるのか
- 不安な点も含めて、なぜそれでも挑戦したいのか
こういう自分の本音や過去の体験としっかり向き合って、言葉にすることが重要です。
人に見せるためのキレイな言葉より、「自分が読んで、納得できる言葉」を目指しましょう。
いろいろツッコまれても答えられるように
自分の言葉を見つける3つのステップ
自分の頭で考えて、履歴書を書くために、次の3ステップをやってみましょう。
ステップ① 自分に問いかける
まずは、自分に問いかけてみます。
- なんで今の仕事を辞めようと思ったんだろう?
- 自分が「嫌だ」と感じたのは、どんな場面?
- 過去に「楽しかった」「うまくいった」経験は?
- そのとき、どんな力が役立った?
これらは全部、「志望動機」や「自己PR」につながる材料です。ネットの例文を読む前に、まずは自分自身に問いかける時間をつくるのが大事です。
ステップ② 書いてみる。下手でもいい
自分に問いかけたあとは、思いついたことをどんどん書いてみましょう。下手でも、まとまりがなくてもOK。まずは「自分の言葉」で書くことが第一歩です。
- 箇条書きでもOK
- 書きなぐりでもOK
- 愚痴っぽくなってもOK
書いていくうちに、「あ、これは使えるな」という言葉が見つかってきます。
ステップ③ 必要に応じて整える
最後に、ネット上の例文やテンプレを参考にしながら、自分の言葉を「伝わる形」に整えていきましょう。
ここではじめてテンプレを使います。つまり、テンプレは「仕上げ」に使うものなんです。
自分の頭で考える人は、どんな職場でも強い
履歴書の書き方に限らず、「自分の頭で考えられる人」は、しっかりした人間性だと判断され、どんな職場でも重宝されます。
- 指示待ちではなく、自分で動ける
- 困ったときに、他人任せにせず対応できる
- 状況を見て、自分なりの判断ができる
いま、自分に自信がなくても、テンプレがないと不安でも、一歩ずつ「自分で考える練習」をしていけば、ちゃんと育っていきます。履歴書を書くという作業は、そのはじめの一歩として、とても良い練習になるのです。
「失敗しないこと」より「考えたこと」に意味がある
履歴書を自分の頭で考えて書くと、「うまくいかなかったらどうしよう」と不安になりますよね。
でも大丈夫。自分の頭で考え抜いて書いた履歴書は、たとえ書類で落ちたとしても、あなたの中に残ります。
そして考えた回数だけ、履歴書は洗練されていきます。最初の転職活動がうまくいかなかったとしても、その経験が、次の一歩を支えてくれます。
自分の頭で考えた言葉にこそ価値がある
テンプレに頼るべきところも、自分で考えるべきところもあるのが人生です。
- テンプレートは参考にしても、頼りすぎないこと
- 履歴書は「正解」を探すものではなく、「自分で納得する」もの
- 書く前に、自分に問いかけ、自分の言葉で書く
- 書いた後に整えればOK
- 自分の頭で考えることが、人生を動かしていく
自分で生み出した言葉には、強い力があります。履歴書を書くという小さな行動から、「考える力」を少しずつ育ててみましょう。